〜ルーツを知れば踊りが変わる!美しくかっこいい郡上おどりの踊り方〜
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「楽しむ郡上と美味しい郡上」REPORT vol.11-1
昨年度、大盛況に終わったこの企画が、パワーアップして帰ってきました。今回も郡上藩江戸蔵屋敷の「唄い手」井上さん、そして「踊り子」の名物姉さんのあつさんに登壇していただき、座学と実技のコンボで、より深くディープな郡上おどりの魅力に迫っていきました!
まずは、座学の様子です。
「郡上おどりのルーツを訪ねて」と題し、井上さんは古代のアニミズムの頃まで遡り白山信仰や白山文化を紐解いていきます。
8世紀から12世紀の奈良・平安時代には修験者の遊行があり、そこで現在も長滝白山神社で続けられている呪術的祝祭儀礼としての「延年の舞」が生まれました。呪術だったものが、中世に入るとその宗教性が失われた、念仏踊や風流踊り、田楽や能楽といったものが流行りだし、江戸時代に差し掛かるとそれがさらに、盆踊りという娯楽性を持った踊りへと変遷していったのだそうです。
その後も、郡上おどりの保存会がどのように設立されたか、どのように踊りが守られてきたのかなど、参加者は聞いたことがない話に興味深く頷いていました。
座学は佳境を迎えます。
郡上おどりでは、下駄がなるということが重要なんです。
井上さんのトーンが変わりました。さて、なんのために下駄をならすのか。皆さんご存知ですか?元々郡上おどりは白山の神さまたちが降り立つ場、つまり神域で踊られていたのです。集落でいうところの神社の境内にある拝殿がそこにあたります。
拝殿は床が板敷です。木造りなんですね。そこで下駄を履いて踊るんです。木の上で、下駄をこする、これがいわゆる土地の神を鎮める音にも鳴るし、邪気を払う音にもなる。
これはかつて、山伏や修験者が一本下駄で山に入り、下りてきた姿も模していることになるそうです。そういう訳で、これが郡上おどりだけが原則、下駄を履かなければならないと言われる所以です。
拝殿で踊られていたものが、郡上八幡の街中まで降りてきた、それが郡上おどり。今はコンクリートの上で踊っているように見えますが、実は郡上八幡にも神域と呼ばれるところがあるのです。それは、宮ヶ瀬橋です。
この橋のたもとに白山の神さまが降り立つお宮があったそうです。ただ、川の氾濫の危険性があったために境内は狭く、拝殿がつくられなかったので、神さまはその橋に降り立つと言われたのでした。俗にいう、神橋(しんきょう)です。
神のおりたつ橋のたもとで、郡上おどりを続けている。つまり、橋本町がかつての拝殿であったというふうに見ることができます。ここは、徹夜踊りのメインの踊り場として、いまだに守り続けられているのです。
そこで、毎年何万という人たちが下駄をならしているのです。
神社にいって、手拍子を打って神さまをお呼びするように、下駄の音がそれを呼び寄せる。このキリコ灯籠の元で、下駄の音とともに踊りの場が成り立っていく。そうすると何やら心が鎮められて、掛け声も揃い始め、下駄の音もそれにつられて動きになる・・・というふうに踊りの輪が郡上でできているのです。
のめり込むように話に聞き入る参加者の皆さま。自然と、踊りの場が整ってきたような空気感が漂い始めました。それではお待ちかね!踊りの練習に取り掛かります。
と、思ったらあつさんがすかさず一言!
下駄を鳴らすのが大事といったら、『俺の下駄の音を聞け〜』という感じで蹴る方、絶対いるんです。これ、うるさいんです。笑 ソロじゃないんです。みんなで音を揃えるんです。
ほう、ほう。
下駄をならすことは絶対に意識せず、まずは足を動かすことだけをを考えてください。足を動かすというより、身体を移動させる。手も足もそれについてくるだけ、というふうに意識したら自然に音が出ます。
それでは、郡上おどりの一番最初に踊られている『古調かわさき』から、少しずつ練習していきたいと思います!
みんなはお百姓さんになったと思ってください。
そう切り出す、あつさん。水田に入るのをイメージするのだそうです。ぬかるみがあるので、長靴のままだとズブズブと沈んでしまうので、浮力のきく「田下駄」という大きいフレーム状の下駄を履くことを想像してみてください。
重いので、これ、紐つけてます。紐を持ちあげてみてください。小さい頃にカンカンに紐つけて遊んだあの感覚ですね。手と足一緒に、重そうに歩くんです。よっこいしょーと膝まで屈んだら、胸元で一回手を叩きます。
『古調かわさき』はお百姓さん。覚えましたか?
パーンって足あげる人いますが、これでは足がドロドロになりますね。重いわーという感じで、足も簡単には沈まないので、粘る感じの動きでお願いします。
井上さんも補足します。
粘り、これ"古調"の基本です。この遅さ、粘りの盆踊りって日本中探してもないんです。この粘りをかっこいいとしてるのが、郡上おどりの古調の踊り。ここに美しさ、かっこよさが、そしてここに郡上おどりのルーツがあるのかと感じながら踊ると、粘りに意味がでて、美しさまで出ててくる。こういうふうに捉えてください。
それでは2曲目にいきます。
郡上おどりのアイコンになりつつある、『かわさき』いきましょう。
歌詞は、『袖絞る・・・』みたいな演歌チックな唄ですが、アフタービートがすごうわかる曲です。頭拍でとってしまってリズムに乗り切れていない人、絶対います。よくみていてくださいね。
それから、郡上おどりには一切、どの曲にも変な「しな」はつけません。手首もほとんど曲げません。首も変に動かしません。
すでにフラフラになっている人たちも見えますが、続いて踊りますよ!最後の曲は、大人気の曲、『春駒』です。名前の通り、馬の曲になります。
馬に乗るために、たずなを持っていますね。だいたい自分の方の高さで、一旦右手を上に、左手を下にクロスして、ブンッ!と前に開きます。肩幅よりちょっと開くと思います。
馬のたずなをピシッと張るイメージで踊れていますか?そのあとは、右足を前にすっと出す・・・・
すっと出したら下駄から『チャッ』という音でえへんはずやでと、私は思うんですが!笑
音を鳴らしてしまった人たちが多く、会場は笑いで和みます。体力が厳しくなってきましたが、みなさん足を止めずに踊ってくれています!
お疲れ様でしたー!
何やらみなさん、ものすごい達成感です。いや、一部にはまだ踊り足りないと言わんばかりの踊り助平も。はい、それではこれで踊り講習を終わります!
◉終わりに
1日のロング企画、いかがでしたでしょうか?祭りの準備としての「鼻緒すげワークショップ」、神さまからのお下がりをいただく直会(なおらい)としての、「郡上の山と里の特別プレートランチ」、そして、目に見えない神さま仏さまたちと一緒になって踊る饗応としての「郡上おどり文化講習会」。
盛りだくさんでしたが、新しい郡上の一面や二面を知っていただける機会となったなら幸いです。
郡上おどり、白鳥おどり、ともに開幕いたしました!
ぜひ現場で本場の踊りを体験しにきてください。郡上でお待ちしております!
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